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体 験 記

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「システム監査技術者 不合格(3回)→合格体験記」

『第三者の視点になりきり、精神上の独立性を確保せよ!』

試験の名称と概要: 情報処理技術者試験「システム監査技術者」
 システム監査技術者は「被監査部門から独立した立場で、トップマネジメントの視点で、情報システムが経営に貢献しているかどうかを、安全性、効率性、信頼性、可用性、機密性、保全性、有用性、戦略性など幅広い側面から総合的に調査し、あるべき姿を描くことによって自ら形成した判断基準に照らして評価し、問題点について説得力のある改善勧告を行う者」と定義されている。試験は毎年4月に実施され,H17年度の応募者は9097人,受験者は4806人、合格者は353人、合格率は7.3%の難関である。

「システム監査基準 −精神上の独立性−
 システム監査人は、システム監査の実施に当たり、偏向を排し、常に公正かつ客観的に監査判断を行わなければならない。」


僕は、このことを頭で理解するだけでなく、ほんとうに体で分かるのに4年かかった。体で分かった時に、はじめて納得のいく論文を書くことができた。

■平成13年春、新試験制度を機に受験するも、あえなく撃沈
 これまでに平成6年度の試験制度改定で、プロジェクトマネージャの第一回試験で合格していた。今回も、そのゲンを担いで新しい制度の下でシステム監査技術者試験に挑戦すれば合格するのではないかと淡い期待を抱いていた。「システム監査といっても、情報処理技術者試験だから、情報処理技術さえ分かっていれば、いけるだろう」と。しかし、それは甘い考えであることが、試験開始して直ぐに分かった。

まず、午前では、これまであまり馴染みのない監査用語や法律用語が出てきた。用語を知らなければ問題の意味さえ分からない。続く午後Tの試験も、題意を理解しておらず、ほとんど検討ハズレの回答になっていたように記憶する。午後Uの論文に至っては、とりあえず字数を埋めたというだけで全くお粗末な内容であった。この段階で、僕は「システム監査」というものを全く理解していなかったのだと思う。その後、発奮して勉強をするも、やはり2回目も連続で撃沈。敗因は午後Uの論文だった。

■システムアナリストには一発で合格!しかし..なぜ?
 次の3回目の受験に臨み、論文対策のつもりで秋期にシステムアナリストを受験した。準備は、最近の業務経験から論文テーマとなりそうなポイントとキーワードを中心に設問ア、イ、ウに沿って整理しておいた。これまでのシステム監査試験の経験から、僕の場合は、論文の下書きを暗記して試験に臨むと、その下書きに固執し設問の題意に合わせて内容を柔軟に調整することができないと感じていた。

システムアナリスト試験は、午前、午後Tを順調に終え、午後Uの論文も順調に筆が進み余裕を持って一気に書き終えた。過去2回のシステム監査試験とは、明らかに感触が違っていた。結果は、合格であった。この論文の感触を大事にして、いよいよ3回目の春、システム監査を受験した。過去2回分の問題とシステム監査基準を徹底的に勉強して、午前と午後Tは、難なくクリア。いよいよ午後Uの論文だ。準備はシステムアナリストの時と同じ業務経験から、監査論文としてのポイントとキーワードを整理しておいた。論文を書き終えた後の感触も、システムアナリストの時と同様に悪くはなかった。
しかし、結果は、やはり不合格であった。なぜ?

■敗因がわからず悩む。結局、業務経験が邪魔に?
 この不合格は、少なからずショックだった。午前、午後Tは問題なくクリアしていたことは確実で、敗因は、やはり論文であった。しかし、今回はシステムアナリストと同様の準備をし、しかも、論文を記述した後の感触でも悪くなかっただけに、不合格そのものよりも、次の受験に向けての対策が全く分からなくなってしまったことに対するショックが大きかった。

「やはり、自分には、システム監査は無理なのか?」

 しばらく頭を冷やした後、何事も基本に立ち返るということを思い出し、システム監査基準を読み返してみた。監査基準を念頭に置き、試験で書いた論文を思い起こしてみると、それは精神上の独立性に欠けた内容であった。特に設問イと設問ウでは、システム監査人としての資質を問うという題意に合っていないことが分かった。設問イでは、システム監査の計画段階で考慮すべき点について問われているのに対して、課題に対する「自分の工夫」を当事者の立場で論じてしまっていた。また、設問ウでは、監査ポイントを問われているにもかかわらず「自分の工夫」に対する当事者としての評価を論じていた。

つまり、いずれの設問も「第三者的立場で客観的に評価する」というシステム監査人としての論文にはなっていなかった。恐らく論文を書いている時、気がつかないうちに、頭の思考回路がシステム構築の当事者になってしまっていたのだろう。結局、長年の当事者としての業務経験が邪魔をしていたことに気がついた。と同時に、この思考回路のカベを取り外すのは、いままでと同じ業務への取り組み方ではダメだと気がついた。

■第三者の視点で−精神上の独立性−を確保しつつプロジェクトに参画
 そこで、僕は次のプロジェクトでは当事者としての立場から離れ、第三者的な立場でも参画することとした。幸い、このプロジェクトはシステム構築自体には、それほど労力を要せず、どちらかというと運用上の法令やセキュリティの課題、社外との調整などが計画段階から焦点となっていた。僕は、これらの課題に対して計画段階でシステム監査を実施し、業務部門の担当者に助言を与えるなどの活動を展開した。

 それと並行して、柔軟な論述能力を見につけるために、IT関連のニュースなどに対し、監査的な立場で、かつ、独自の論点を加えながら500字程度のコメントをする訓練をした。最初のころは、何度か推敲を繰り返していたが、慣れてくると、一回で500字程度にまとめることができるようになってきた。そして、時にはWebページに自分の投稿したコメントが掲載されるようになった。(例:日経コンピュータ「運用ミスと動かないコンピュータについて考える」”この下りには思わず「その通り」と思いました。”)マスコミのプロがお墨付きをくれたわけですから、ここまでくればしめたもの。ひとつのテーマやキーワードに対して、即興で500字程度の独自の論点でのコメントがまとめられると言うことは、ポイントとなるキーワードが6個あれば、約3000字のコメント、すなわち論文が即興で書ける計算だ。

■4回目、これで受からねば一生受からない!?
 さて、いよいよ4回目の受験だ。午前、午後Tは、これまでどおり順調にこなした。あとは午後Uの論文だけだ。準備は、これまでと同じく業務経験から監査のポイントを5〜6個選んで整理しておいた。試験開始と同時に、そのポイントを忘れないうちにメモ用紙に書き出す。次に、業務経験に近い問題を出題文の中から探して選択する。問題文を読みながら、準備したポイントと関連するキーワードに下線を引いていく。そして設問アを記述する。順調な滑り出しだ。

続いて、設問イ、設問ウを、題意に忠実に沿って書き進めた。基本は、課題に対して「明文化−合意形成−承認−周知−記録−検証」の一連のプロセスが確実に実行され、内部統制が働いているか否かを第三者的視点でチェックし勧告することであり、当事者としての立場で課題の解決策を具体的に論じることではない。こうして、一気に論文を書き終えた。
「これで受からなければ、もう、一生受からないだろう」それが、受験後の正直な感想だった。

■合格!システム構築のPDSサイクル
 いよいよ合格発表の日が来た。発表時間を待って、試験センターの合格発表サイトにアクセスし自分の受験番号を探した。「あった。合格だ。これで、やっと解放される。」4度目にして、ようやく合格した喜びよりも、やっと肩の荷が下りてホッとしたというところが正直な感想だった。

これで、システムアナリスト、プロジェクトマネージャ、システム監査に合格したことで、システム構築のPlan−Do−Seeを回すための基礎能力を国から認めてもらえたことになる。今回、システム監査を諦めずに受験し続けたことで、−精神上の独立性−を確保しつつ、第三者的な視点でシステムの有効性を総合的に評価するということを体で覚えることができた。

※合格時の午後Uで選択した問題と回答論文のポイントを以下に掲載しています。
2004年システム監査技術者合格論文 『IT投資計画の監査について』


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